GUIDE — 3-3
ストリート別編成 完全解説
グリッド編成(3-2)を1ストリートで完結させず、ハンド全体の流れで設計します。 フロップは広く、ターン・リバーと進むごとにブラフを間引く—— この漏斗が、リバーで「純粋な空気だけ」に絞り込まれる自然な形です。
1ブラフは漏斗で細る
フロップで撃ったブラフは、全部がリバーまで生き残るわけではありません。ターンで一部が本物のドローに昇格して継続、残りは降りる—— ストリートが進むごとにブラフレンジは細っていきます。
ブラフレンジはストリートごとに間引かれる
2なぜフロップは広く、リバーは狭いのか
| ストリート | ブラフの中身 | 理由 |
|---|---|---|
| フロップ | エクイティ付き(ドロー・バックドア)多め | 呼ばれても完成する保険。継続の当てがある |
| ターン | 昇格したドロー+一部の空気 | 昇格しなかった手が脱落し始める |
| リバー | 純粋な空気(外したドロー)だけ | 保険は消え、ブロッカーとストーリーで選抜 |
3ストリートごとの目標コンボも変わる
Bet Size Master 3-3(ストリート設計)の裏返しです。バリューがストリートごとに凝縮するので、ブラフ枠もストリートごとに再計算します。
ポットベット3連続の設計
- 1.リバーで必要: バリュー12 : ブラフ6(2:1)
- 2.ターンは次のストリートで降ろせる分多めに → 12:12(1:1程度)
- 3.フロップはさらに広く → 12:18(1:1.5でも成立)
答え: ストリートが進むごとにブラフを間引き、リバーで2:1に着地
4ひっかけは、この3つ
- 罠1: 全ストリート同じブラフ量
リバーの2:1をフロップから守ると、フロップのブラフが少なすぎ。ストリートが進むほど絞る。
- 罠2: フロップで空気を撃つ
フロップは保険(ドロー・バックドア)付きを優先。純空気はターンで畳めず詰まる。
- 罠3: 昇格しない手を撃ち続ける
ターンで昇格しなかった空気は降りる。根拠なく撃ち続けると、リバーで純空気が過剰になる。
5上達のコツ
🎯 練習の進め方
- ・3段を口癖に: フロップは保険付き(ドロー・バックドア)を広く、ターンで昇格組を継続、リバーで純空気を選抜
- ・暗記: ブラフ量はストリートが進むごとに絞り、リバーで2:1(ブラフ率33%)に着地させる
- ・サイズはバリューと共通に保つ(サイズテル回避)。変えるのは量だけで、サイズは動かさない
- ・昇格目安: フロップ→ターン→リバーの間引きを1ハンドで澱みなく設計できたら、Bluff Builderは修了
6実戦でこう使う — ハンド全体のブラフ設計
ストリート別編成は、Bluff Builderの集大成です。 資格(1-x)で候補を選び、ブロッカー(2-x)で序列をつけ、目標コンボ(3-1)で枠を出し、 グリッド編成(3-2)で組む——それを3ストリート通して行う。
フロップで保険付きを広く、ターンで昇格組を継続、リバーで純空気を選抜。 この漏斗が澱みなく流れたら、あなたの攻めは1ハンドを通して均衡が取れています—— Bluff Hunter(守る側)から搾取されない、完成した攻撃レンジです。
7エクイティ実現 — フロップで広く撃てる本当の理由
フロップのブラフが広くてよいのには、頻度以外の理由があります——エクイティの実現です。
ドロー付きの手でフロップから撃つと、①相手が降りればポット獲得 ②呼ばれても完成して勝つ目、の二重の価値がある。さらに③自分がアグレッサーだと、完成した時に相手から支払いを引き出しやすい(=エクイティを現金化しやすい)。この3つが重なるから、フロップは保険付きの手を広く撃てるのです。
| 撃つ主体 | エクイティ実現のしやすさ |
|---|---|
| 自分がアグレッサー | 高い(主導権で現金化) |
| 受け身(チェックコール) | 低い(完成しても取りにくい) |
8ジオメトリックとの連動 — ブラフもサイズ設計に乗る
ストリート別編成は、Bet Size Masterのジオメトリック設計(1-4/3-3)と連動します。バリューを3発で入れ切る脚本に、ブラフも同じサイズで乗せる。
バリューが「79%×3発」でオールインへ向かうなら、ブラフも同じ79%×3発でなぞる。サイズを変えるとブラフだとバレる(サイズテル)ので、バリューと同じサイズ列を、ストリートごとに間引きながら撃つ。
9一歩深く — 漏斗は「バリューの凝縮」と対になっている
ブラフが漏斗で細るのは、バリューもストリートごとに凝縮するからです。 フロップの薄いバリューはターン・リバーで脱落し、リバーには最強級だけが残る。バリューが濃くなる分、それに対応するブラフも同じ割合で絞る——攻めのレンジは、バリューと空気の2本のカーブが同じ形で細っていく設計です。
- ・Bet Size Master(3-3 ストリート設計): 本ページの完全な裏返し。バリューの凝縮とサイズ列を決める
- ・Bluff Hunter(03): 守る側はストリートごとにMDFを更新し、あなたの漏斗に合わせて降り率を変える
- ・Hand Reader(02): 相手のレンジも同じ漏斗で細る——それを読めると次のバレルの精度が上がる
ここまで来れば、Bluff Builderの4つの柱——資格・ブロッカー・頻度と編成・EV検算——が1ハンドの流れの中で一斉に動きます。1回の編成は点、ストリート別編成はその点を結んだ線。線で設計できて、攻めのレンジは初めて完成します。
10実戦シナリオ2本目 — 漏斗を1ハンド通して流す
§3は数量設計でした。今度は具体的な手が漏斗をどう流れるかを1ハンド通して追います。 あなたはBTNでオープン、BBがコール。ボード Q♠ 8♠ 3♦ / 2♠ / K♥。ポットベット3連続の脚本で、 手持ちのブラフ候補が漏斗のどこで生き残り、どこで畳まれるかを見ます。
3つのブラフ候補の運命を追う
- 1.フロップ(Q83♠): J♠T♠(FD+ガッツ)・A♠5♠(ナッツFD)・76o(ただの空気)——3つとも撃つ
- 2.ターン(2♠でフラッシュ完成): J♠T♠とA♠5♠はフラッシュ完成でバリューへ昇格。76oは芽なし→畳む
- 3.リバー(K♥): フラッシュ2本はバリュー。純ブラフ枠には別の外したドローを、A♠ブロッカー基準で選抜
- 4.76oをフロップで撃ったのは、ターンで畳む前提の1発(多ストリートFEで正当化)
答え: フロップ3本→ターンで芽なしを1本落とす→リバーは純空気を選抜
注目すべきは、同じ「ブラフ」でも各ストリートで役割が入れ替わることです。 フロップの76oは「ターンで畳む前提の広げ玉」、J♠T♠は「昇格候補の本命」。 ターンでスペードが完成すると、昨日までブラフだった手がバリューに化け、ブラフ枠には新しい空気を補充する—— この補充と間引きの流れが漏斗の実像です。§2の表を静的な分類でなく、動く手の流れとして体感してください。 罠3(昇格しない手を撃ち続ける)を避けられるのは、フロップで撃った時点で「これはどこで畳むか」を決めているから。 広げ玉と本命を区別して撃つ人だけが、リバーで純空気の過剰を起こさずに2:1へ着地できます。
11失敗例の解剖 — リバーの2:1をフロップから守る
ストリート別編成で最も多い失点は、罠1(全ストリート同じブラフ量)です。 リバーの目標比率をフロップに前倒しする誤りを解剖します。
問題: ポットベット3連続。リバーが2:1なら、フロップのブラフ比率は?
- 1.この人の設計: 『均衡は2:1だから、フロップから2:1を厳守』→ フロップもブラフ33%
- 2.見落とし: フロップのブラフは、ターン・リバーで間引かれて減っていく
- 3.フロップで2:1にすると、間引き後のリバーはブラフが枯れて1:3などに
- 4.正解: フロップは広く(1:1〜1:1.5)、絞ってリバーで2:1に着地
答え: フロップは2:1より広く撃つ(間引きを見越して多めに仕込む)
この誤りの本質は、2:1という「ゴール地点の比率」を「スタート地点」に置いてしまったことです。 ブラフは漏斗で細る(§1)ので、リバーで2:1に着地するには、フロップではそれより多くのブラフを仕込んでおく必要がある。 フロップから2:1を守ると、ターンで昇格しなかった手が抜け、リバーには少数の純空気しか残らず——結果としてリバーがブラフ不足(バリュー偏重)になり、相手に安全に降りられる。 §3の「フロップ12:18 → ターン12:12 → リバー12:6」の数列がまさにこの前倒し防止です。 目標比率は最終ストリートのもの。手前のストリートは、間引きぶんを見越して常に広めに撃つ——これが漏斗設計の一番の勘所です。
12よくある質問
Q. なぜフロップは純空気ではなく「保険付き」を撃つの?
純空気はターンで畳むしかなく、継続の当てがないからです(罠2)。 ドローやバックドア付きなら、①降ろせて良し ②呼ばれても完成の目 ③ターンで昇格すれば継続、の三重の勝ち筋がある(§7)。 フロップで広く撃つブラフの主力は、この「芽のある空気」であるべき。 純空気を混ぜるのは、良い保険付き候補が枠に足りない時の補充に留めます。
Q. ストリートごとにサイズも変えるべき?
いいえ、変えるのは量だけ、サイズはバリューと共通に保つ(§8)。 ブラフだけサイズを変えるとサイズテル(Bluff Hunter 3-2)で見抜かれる。 バリューが79%×3発でオールインに向かうなら、ブラフも同じ79%×3発でなぞり、 ストリートごとに本数だけ間引く。ジオメトリック設計に、バリューと空気の両方を同じサイズ列で乗せるのが正解です。
Q. ターンで昇格しなかった空気は、必ず畳む?
原則は畳みます(罠3)。ただし良いブロッカーを持ち、相手のレンジがキャップ気味なら、 昇格しない空気でもターンで撃ち続ける価値がある。判断基準は「このまま撃ってリバーまで通せるストーリーがあるか」。 芽もブロッカーもストーリーもない手は、素直に畳んでチェック。畳む判断ができることが、リバーの純空気過剰を防ぎます。
Q. アグレッサーかどうかで、なぜブラフの広さが変わる?
§7のエクイティ実現の差です。自分がアグレッサー(打つ側)だと、 ドローが完成した時に主導権で相手から支払いを引き出しやすい=エクイティを現金化しやすい。 受け身(チェックコール)だと、完成しても取りにくい。 だから同じドローでも、打つ側にいる時の方がフロップから広く撃つ価値が高い。主導権はエクイティの現金化装置です。
Q. ブラフの漏斗とバリューの凝縮は、どう対応している?
§9のとおり2本のカーブが同じ形で細るのが理想です。 フロップの薄いバリューがターン・リバーで脱落して最強級だけ残るのと並行して、 ブラフも同じ割合で間引く。バリューが凝縮する分ブラフも絞るから、各ストリートで比率(2:1等)が保たれる。 Bet Size Master 3-3(バリューの凝縮とサイズ設計)と、この4-3(ブラフの漏斗)は、攻めレンジの表裏一体です。
Q. ここまでの設計、実戦でどこまで意識する?
全比率の精密計算は不要です。実戦では「フロップは広く保険付き、リバーは純空気を厳選、間引きながら進む」の3語で足ります。 フロップで撃つ時に「これは昇格候補か、畳む前提の広げ玉か」を意識するだけで、漏斗はほぼ正しく流れる。 精密な数列(12:18→12:12→12:6)はドリルで反射を作るための訓練で、卓上ではその反射が「今このブラフは残す手か畳む手か」の即断として出ます。
