GUIDE — 3-3
複合リーク 完全解説
実戦の相手は1つのタイプに収まりません。「プリはアグロだがフロップは降りすぎ」のように、 複数のリークを同時に持つ。どちらを先に突くか、どう突き分けるか—— 単一リークの対策を重ね合わせる、統合の一段上の技です。
1優先順位は『頻度 × 深さ』
リークが2つあるとき、限られた注意をどちらに向けるか。答えは頻度×深さ——よく起きて、1回のEV差が大きいリークを優先します。
| 要素 | 意味 |
|---|---|
| 頻度 | そのリークが発動する局面がどれだけ来るか |
| 深さ | 1回突いたときのEV差の大きさ |
| 価値 | 頻度 × 深さ = 総利益への寄与 |
2ストリート別に突き分ける
複合リークの多くは局面ごとに逆の対応になります。 例: FtCB66(フロップは降りすぎ)+ WTSD38・低AF(リバーまで行くと降りない)。
| ストリート | リーク | 対応 |
|---|---|---|
| フロップ | CBに降りすぎ | 高頻度CBで安く降ろす |
| リバー(降りずに来た相手) | 降りない | ブラフ止めてバリュー厚く |
同じ相手なのに、フロップは「ブラフで降ろす」、リバーは「ブラフ厳禁」。1人を1つのタイプに押し込めないのが複合リークの妙。局面でリークの向きが変わることを追います。
3一見矛盾するプロファイルの読み方
「プリはアグロ(3Bet13)だがフロップは弱い(FtCB68)」——矛盾に見えて、実在する複合型です。
| 局面 | 相手のリーク | こちらの対応 |
|---|---|---|
| プリフロップ | アグロ(3bet多い) | オープンを締め、3betに強く対応 |
| フロップ以降 | 降りすぎ | CBブラフを増やす |
局面ごとにリークの向きが逆なので、対応も切り替える。プリは慎重に、ポストは搾取的に。「攻撃的な人=全局面で強い」という単純化を捨てるのが上級の読みです。
4ひっかけは、この3つ
- 罠1: 最初に見つけたリークを突く
優先順位は頻度×深さ。目立つだけで稀なリークより、頻出の中穴を優先。
- 罠2: 2つのリークを同時に等しく突く
注意は有限。最も儲かる1つに集中させ、局面で切り替える。
- 罠3: 矛盾するプロファイルを無視
『プリ強・ポスト弱』は実在する複合型。局面ごとに対応を分けるのが正解。
5上達のコツ
🎯 練習の進め方
- ・複合プロファイルを見たら、リークを1つずつ紙に書き出し「頻度×深さ」で順位付け。頭の中だけでやらないのが最初のコツ
- ・「プリ/フロップ/リバー」の3局面に分けて、局面ごとの対応を1語で言う練習(例: 締める/CB増やす/ブラフ止め)
- ・暗記する型は2つ: 「降りすぎ×降りない」のストリート切替、「アグロ×ポスト弱」のプリ慎重・ポスト搾取
- ・昇格目安: 2リークの矛盾プロファイルを見て、優先すべき1つと突き方を10秒で言えたら合格
6実戦でこう使う — 統合の一段上
複合リークは、実戦統合(3-2)の上位版です。 単一リークの対策マッピング(3-1)を、局面ごとに使い分けて重ね合わせる。
そして重要なのは「どの搾取が最も儲かるか」の見積もり——これはEV定量化(4-1)と直結します。 複数の穴があるとき、EVが最大の突き方を選ぶ。相手を1つのタイプでなく局面ごとの穴の集合として見るのが、搾取の到達点です。
7一歩深く — リークは連鎖する: 1つ突くと次が見える
複合リークは独立していないことが多い。1つのリークが別のリークを生む連鎖を読むと、先回りできます。
| 元のリーク | 連鎖して生まれるリーク |
|---|---|
| CBに降りすぎ | → 浮かせた後のターンでも守れず連鎖フォールド |
| 降りない(Station) | → 弱い手でショーダウンまで来る=薄バリューが常に効く |
| ティルト | → ルース化+アグロ化+コール過多が同時発生 |
特にティルトは複数リークの同時発生源。1つの根本原因(感情)が、参加の広さ・攻撃性・コール頻度を一斉に狂わせる。根本を読めば連鎖するリーク群をまとめて突けます。
8複合リークでも均衡が保険になる
複数の穴を突き分けるのは高度で、読み違えるリスクも上がります。迷ったら均衡(GTO)が保険。
| 状況 | 方針 |
|---|---|
| リークが明確で確度が高い | 局面別に全力で突く |
| 2つのリークが矛盾して読めない | 確度の高い方だけ突き、他は均衡 |
| 全体的に読み負けている | 均衡に寄せて安全確保(4-2) |
複合リークは欲張ると読み違える。最も確度の高い1つに集中し、不確かな部分は均衡で守る。全部を突こうとして自分がミスするのが、複合リーク攻略の最大の落とし穴です。
9実戦シナリオ2本目 — 頻度×深さで突く順を決める
§2・§3は突き分けの話でした。複合リーク攻略の起点は、どのリークから突くかの優先順位付けです(§1)。 具体的なプロファイルで、注意をどこに集中させるかを決めます。 相手が「①リバーのオーバーベットに降りすぎ(稀だが1回のEV大)」と「②CBに降りすぎ(毎ハンド起きる中EV)」の2つを持つとき。
2つのリークを頻度×深さで採点する
- 1.リーク①: 深さ大(1回で大ポット)だが頻度小(リバーの大ベット局面は稀)
- 2.リーク②: 深さ中(CB1回分)だが頻度大(ほぼ毎ハンド発生)
- 3.価値 = 頻度×深さ: ①は 小×大、②は 大×中
- 4.毎ハンド積み上がる②の総利益が、稀な①を上回ることが多い
答え: まず②(高頻度CBブラフ)を主軸に、①は局面が来たら突く
ここで避けたいのが罠1(最初に見つけたリークを突く)です。 リバーのオーバーベット降りすぎは目立つ大穴なので、つい飛びつきたくなる。 しかし発動するのは数十ハンドに1回で、総利益への寄与は、毎ハンド起きるCB降りすぎに劣ることが多い。 §1のPointどおり「発動頻度×1回の得」で価値を測る——稀な大穴より、頻出の中穴の方が積み上がる。 注意は有限なので(罠2)、最も価値の高い1つに集中し、他は局面が来た時だけ突く。 「一番派手なリーク」でなく「一番稼げるリーク」を選ぶ——この優先順位付けが、複合リーク攻略の第一歩です。 そして§6のとおり、この「どの突き方が最も儲かるか」の見積もりは、EV定量化(4-1)と直結します。
10失敗例の解剖 — 全リークを同時に等しく突く
複合リークで最も多い失点は、罠2(2つのリークを同時に等しく突く)です。 欲張って自分がミスする、複合攻略特有の誤りを解剖します。
問題: 相手に『CB降りすぎ』『リバー降りない』の2リーク。両方を毎ハンド最大限突いた結果は?
- 1.この人の方針: フロップは全力でブラフ、リバーも大きく攻めて両取りを狙う
- 2.矛盾: リバー『降りない』相手にブラフを打つのは自殺(ブラフ止めが正解)
- 3.2つのリークは局面ごとに逆の対応を要求する(§2)
- 4.同時に等しく突こうとして、リバーで降りない相手にブラフを献上
答え: 局面で切り替える(フロップはブラフ、リバーはバリュー厚く)
この誤りの本質は、2つのリークが局面ごとに逆の対応を要求することを見落としたことです(§2)。 同じ相手でも、フロップは「降りすぎ→ブラフで降ろす」、リバーは「降りない→ブラフ厳禁でバリュー厚く」。 両方を「攻める」と一括りにして毎ハンド全力で突くと、リバーで降りない相手にブラフを打つ最悪手に陥る。 複合リークは1人を1つのタイプに押し込めず、局面ごとに穴の向きを追うのが要諦。 さらに§8のとおり、欲張って全部を突こうとすると自分の読み違え・ミスが増える——最も確度の高い1つに集中し、不確かな部分は均衡で守る方が総EVは高い。 複合リーク攻略の最大の落とし穴は、相手のリークでなく、全部取りを狙った自分のミスです。
11よくある質問
Q. リークが複数あるとき、どれから突く?
頻度×深さが最大のものから(§1)。よく起きて、1回のEV差が大きいリークを優先する。 目立つ大穴(稀にしか起きない)より、毎ハンド起きる中くらいの穴の方が総利益は大きいことが多い。 「発動頻度×1回の得」で価値を測り、大きい順に突く。 派手さでなく、積み上がる総利益で選ぶのが優先順位付けの原則です。
Q. 「プリは強い・ポストは弱い」は矛盾していない?
矛盾でなく実在する複合型です(§3・罠3)。3bet多用でプリはアグロだが、 フロップ以降は降りすぎ(FtCB高い)という相手はよくいる。 局面ごとにリークの向きが逆なので、対応も切り替える——プリは慎重に(オープンを締め3betに強く)、ポストは搾取的に(CBブラフを増やす)。 「攻撃的な人=全局面で強い」という単純化を捨てるのが上級の読みです。
Q. 2つのリークを同時に突いてはダメ?
局面が違えば突きますが、同じ局面で欲張るのは危険です(罠2・§10)。 注意は有限で、複合リークは往々にして局面ごとに逆の対応を要求する(フロップはブラフ・リバーはバリュー)。 同時に等しく突こうとすると、リバーで降りない相手にブラフを打つような自滅をする。 最も儲かる1つに集中し、局面で切り替える。全部取りを狙って自分がミスするのが最大の落とし穴です。
Q. リークが読めない・確信が持てない時は?
均衡(GTO)が保険です(§8)。リークが明確で確度が高いなら局面別に全力で突く、 2つが矛盾して読めないなら確度の高い方だけ突いて他は均衡、全体的に読み負けているなら均衡に寄せて安全確保。 複合リークは欲張ると読み違える。確度の高い1点を深く突き、不確かな部分は均衡で守る—— 均衡は、迷った時の退避先として常に用意しておきます。
Q. リークが「連鎖する」とはどういうこと?
1つのリークが別のリークを生むことです(§7)。CB降りすぎ→浮かせた後のターンでも守れず連鎖フォールド、 降りない→弱い手でショーダウンまで来る=薄バリューが常に効く。 特にティルトは複数リークの同時発生源——1つの感情が参加の広さ・攻撃性・コール頻度を一斉に狂わせる。 リークを個別の点でなく「根本原因」で捉えれば、派生する穴群をまとめて突けます。
Q. 複合リークは、他の技とどうつながる?
実戦統合(3-2)の上位版、EV定量化(4-1)の入力です(§6)。 単一リークの対策マッピング(3-1)を局面ごとに使い分けて重ね合わせるのが複合リーク。 そして「どの搾取が最も儲かるか」の見積もりがEV定量化に直結する。 相手を1つのタイプでなく「局面ごとの穴の集合」として見て、EVが最大の突き方を選ぶ——これが搾取の到達点です。
