GUIDE — 1-1
単体スタッツの意味 完全解説
搾取は「相手を数字で見る」ことから始まります。 HUDやメモに並ぶ6つの主要スタッツ——それぞれが相手の1つの性質を測る物差しです。 まずは1個ずつ、健全域と、そこから外れたときに何を意味するかを正確に掴みます。
16つの主要スタッツ早見表
| スタッツ | 健全域 | 測るもの |
|---|---|---|
| VPIP | 22–26% | 自発的に参加した割合=ルースさ |
| PFR | 18–22% | プリフロップでレイズした割合=攻撃性 |
| 3Bet | 6–9% | リレイズ頻度 |
| FtCB | 40–50% | CBへのフォールド率=曲げやすさ |
| WTSD | 26–30% | ショーダウンまで行く率=降りなさ |
| AF | 2–3 | (ベット+レイズ)÷コール=攻撃性 |
2高い/低いが意味すること
| スタッツ | 高い= | 低い= |
|---|---|---|
| VPIP | ルース(弱い手も参加) | タイト |
| PFR | 攻撃的に主導権 | 受け身・コール中心 |
| FtCB | CBに降りすぎ(狙い目) | CBに粘る |
| WTSD | 降りない(Station寄り) | 降りすぎ(ブラフ有効) |
| AF | 攻撃的 | 受動的(ブラフ効かない) |
方向を取り違えないこと。特にAFが低い=受動的(コール偏重)で、 「AFが低い=攻撃的」と逆に読むのが典型的なミス。FtCBが高い=降りすぎ=こちらのブラフが通る、も頻出です。
3AFの読み方 — 最も誤解される数字
AF(アグレッションファクター)は(ベット+レイズ)÷コール。 攻撃的なアクションが、受け身なコールの何倍あるかを表します。
AF = ( ベット + レイズ ) ÷ コール
例: ベット45回+レイズ15回、コール75回なら (45+15)÷75 = 0.8 — コール偏重の受動型
| AF値 | 意味 | 対策 |
|---|---|---|
| 0.8 | 受動的(コール偏重) | バリュー厚く・ブラフ0 |
| 2–3 | 健全 | 標準対応 |
| 4.5 | 攻撃的(ブラフ多い) | ブラフキャッチで対抗 |
AF0.8のような受動的な相手にはブラフが効かない(自分から降ろせない)。この1つの数字が、対策を大きく変えます。
4実際の解き方 — 健全域と突き合わせる
ドリルの解き方は毎回同じ3拍子です。①健全域を思い出す → ②高い/低いを判定 → ③意味と対策に翻訳。 サンプル数の確認(1-3で詳述)を挟むと、そのまま実戦の型になります。
例1: FtCB 68%・サンプル250
- 1.健全域: 40〜50%
- 2.68% は上に大きく外れ → 降りすぎ
- 3.FtCBの信頼閾値は約200 → 250なら判断可
- 4.対策: 高頻度でCBを撃つ
答え: CBに降りすぎ=CBブラフが通る相手
例2: AF 0.8・サンプル400
- 1.AF = (ベット+レイズ)÷コール
- 2.健全域: 2〜3 → 0.8は大きく下
- 3.AFの閾値は約300 → 400なら判断可
- 4.対策: バリュー厚く・ブラフ0
答え: 受動的(コール偏重)=降ろせない相手
例2を「AFが低い=おとなしい=ブラフで降ろせそう」と読むと、結論が正反対になります。 低AFはコールが多いという意味——降りないからこそブラフ禁止。 ②の方向判定を間違えると、③の対策が全部逆になるのがこの技の怖さです。
5ひっかけは、この3つ
- 罠1: AFの方向を逆に読む
AFが低い=受動的。『低い=攻撃的』と誤読するとブラフキャッチとブラフの判断が全部逆になる。
- 罠2: サンプルを見ずに断定
3Betは500ハンド、WTSDは1000ハンド必要。少サンプルの異常値は偶然(1-3で詳述)。
- 罠3: 1つのスタッツだけで人物像
VPIP単体では『ルース』しか分からない。攻撃性はPFR/AFと組み合わせて初めて見える(1-2)。
6上達のコツ
🎯 練習の進め方
- ・健全域6点セット(VPIP22–26 / PFR18–22 / 3Bet6–9 / FtCB40–50 / WTSD26–30 / AF2–3)をまず丸暗記。全ての判定の基準線です
- ・数字を見たら「健全か・高いか・低いか」→「意味」→「対策の方向」の3段を声に出して言う練習を
- ・Lv5の制限時間は10秒。健全域を思い出す時間はないので、見た瞬間に方向が出るまで反復
- ・単体で読めるようになったら、ギャップ読み(1-2)で数字を組み合わせて人物像へ進みます
7実戦でこう使う — 読みの初期値
単体スタッツは、相手プロファイルの部品です。 1つずつを「健全か・どちらに外れているか」で判定できると、次のギャップ読み(1-2)で組み合わせて人物像を描ける。
Hand Reader 1-3(タイプ補正)が「TAG/LAG/Nit/Station」を扱ったのに対し、 Exploit Visionはそれを数字で裏づける。感覚の「攻撃的そう」を「AF3.4」という反証可能な事実に変えるのが、この技の価値です。
8スタッツは分子と分母でできている
全てのスタッツは「機会(分母)に対して何回起きたか(分子)」の割合です。 これを意識すると、サンプル規律(1-3)の理由が腹落ちします。
| スタッツ | 分子 / 分母 |
|---|---|
| VPIP | 自発参加した回数 / 全ハンド |
| 3Bet | 3betした回数 / 3betの機会があった回数 |
| FtCB | CBに降りた回数 / CBに直面した回数 |
分母が小さいスタッツ(3bet・WTSD)は機会自体が稀なので、安定するまで時間がかかる。 VPIPは毎ハンド分母が増えるから早い。この「分母の育ち方」がサンプル閾値の差を生みます。
9一歩深く — スタッツは『傾向』であって『手札』ではない
最後に重要な限界。スタッツは相手の平均的な傾向を語りますが、 今この瞬間の手札は教えてくれません。AF3.5のアグロでも、今回はナッツを持っているかもしれない。
| スタッツが答えること | 答えないこと |
|---|---|
| この相手はブラフが多い傾向か | 今このベットがブラフか |
| レンジ全体の広さ・攻撃性 | 今持っている具体的な2枚 |
だからスタッツは確率を傾ける事前分布として使い、 目の前のライン・ボード・サイズ(Hand Reader)と組み合わせて最終判断する。スタッツ単体で1ハンドを断定しないのが規律です。
10実戦シナリオ2本目 — 3拍子で1つのスタッツを対策に翻訳
§4で「健全域→高低判定→対策」の3拍子を学びました。実戦で1つのスタッツを見た瞬間に、 この3段を澱みなく回せるかを具体例で確かめます。相手のWTSDが「38%・サンプル1200」だったとき。
WTSD38%を3拍子で読む
- 1.①健全域を思い出す: WTSDは26–30%
- 2.②高低判定: 38%は上に大きく外れ → ショーダウンまで行きすぎ=降りない
- 3.サンプル確認: WTSDの閾値は約1000 → 1200なら判断可(罠2)
- 4.③対策に翻訳: 降りない相手=ブラフ効かない → バリュー厚く・ブラフ削減
答え: Station寄り(降りない)→ ブラフを止めてバリューを厚く
ここで掴んでほしいのは、1つの数字が3拍子を通ると具体的な行動に化けることです(§4)。 「WTSD38%」という数字そのものは何も教えませんが、健全域(26–30%)と突き合わせて「高い=降りない」と判定し、 サンプル(1200>閾値1000)で信頼性を確認し、「降りない相手にはブラフが効かない」と対策へ翻訳する——ここまでやって初めて実戦で使える。 このとき方向判定(②)を間違えると対策(③)が全部逆になる(§2)——例えばWTSDを「低い=降りすぎ」と読み違えれば、ブラフを厚くする真逆の対策になってしまう。 だから健全域6点セットは丸暗記が必須(§6)で、見た瞬間に「健全か・高いか・低いか」が反射で出る状態を作る。 §9のとおりスタッツは「傾向」であって「今の手札」ではないので、この対策は事前分布として使い、 目の前のライン・ボード・サイズ(Hand Reader)と組み合わせて最終判断する。地図で当たりをつけ、実際のアクションで現在地を確かめる両輪です。
11失敗例の解剖 — AFの方向を逆に読む
単体スタッツで最も対策を狂わせる失点は、罠1(AFの方向を逆に読む)です。 低AFを「おとなしい=ブラフで降ろせる」と誤読する典型を解剖します。
問題: 相手のAFが0.8。『おとなしいから、ブラフで降ろせそう』でブラフを増やす?
- 1.この人の思考: 『AFが低い=攻撃的でない=弱気、だからブラフが通る』
- 2.誤読: AF=(ベット+レイズ)÷コール。低い=コールが多い=受動的
- 3.受動的=自分から攻めないが、コールは多い=降りない
- 4.降りない相手にブラフを増やす=コールされて損を垂れ流す
答え: バリュー厚く・ブラフ0(低AFは受動的=降ろせない相手)
この誤りの本質は、「攻撃的でない」を「降ろしやすい」と取り違えたことです。 AFが低いのはコールが多いという意味——自分からは攻めないが、こちらのベットには粘って降りない受動型(Station寄り)。 「おとなしそうだからブラフが効く」は正反対で、こういう相手こそブラフ禁止・バリュー特化が正解。 §4のとおり、方向判定(②)を間違えると対策(③)が全部逆になる——これがこの技の一番怖いところです。 対策はAFの定義を式で覚えること: (ベット+レイズ)÷コール。 分母のコールが大きければAFは小さくなる=コール偏重=受動的=降りない。 「低AF=弱気=降ろせる」という直感は、この式を思い出せば必ず訂正できる。 数字の「高い/低い」がどちらの性質を指すか、6スタッツすべてで方向を正確に暗記することが、対策を逆にしない唯一の防波堤です。
12よくある質問
Q. 6つのスタッツ、まず何から覚える?
健全域6点セットを丸暗記が最優先です(§6)。 VPIP22–26・PFR18–22・3Bet6–9・FtCB40–50・WTSD26–30・AF2–3。 これが全判定の基準線——数字を見たら「健全か・高いか・低いか」が反射で出る状態を作る。 健全域を知らないと「高い/低い」の判定自体ができない。まず基準線、次に方向と対策、の順で身につけます。
Q. AFが一番誤解されるのはなぜ?
「低い=弱気=降ろせる」と直感で読むと逆になるからです(罠1・§3)。 AF=(ベット+レイズ)÷コールなので、低い=コールが多い=受動的=降りない。 「おとなしそうだからブラフが効く」ではなく、降りないからこそブラフ禁止・バリュー特化が正解。 式を思い出せば必ず訂正できる。分母のコールが大きいとAFは下がる——低AFはコール偏重の証です。
Q. なぜスタッツごとに必要サンプルが違うの?
分母(機会)の育ち方が違うからです(§8)。すべてのスタッツは「機会に対して何回起きたか」の割合。 VPIPは毎ハンド分母が増えるので早く安定するが、3betやWTSDは機会自体が稀なので分母がなかなか育たない。 だから3Betは約500、WTSDは約1000ハンド必要。数字を見たら「分母は何回ぶんか」を想像すると、 その数字を信じてよいか一目で分かります。少サンプルの異常値は偶然(罠2)。
Q. 1つのスタッツだけで相手を判断していい?
いいえ、1つでは部分的な性質しか分からない(罠3)。 VPIP単体では「ルース」しか分からず、攻撃性はPFR/AFと組み合わせて初めて見える。 例えばVPIP高・PFR低なら受動的なコーラー、VPIP高・PFR高ならアグロ——同じルースでも中身が正反対。 単体スタッツは相手プロファイルの部品で、次のギャップ読み(1-2)で組み合わせて人物像を描きます。
Q. スタッツで「今のベットがブラフか」は分かる?
分かりません。スタッツは傾向であって、今の手札ではない(§9)。 「この相手はブラフが多い傾向か」には答えるが、「今このベットがブラフか」には答えない。 AF3.5のアグロでも、今回はナッツかもしれない。だからスタッツは確率を傾ける事前分布として使い、 目の前のライン・ボード・サイズ(Hand Reader)と組み合わせて最終判断する。地図で当たりをつけ、アクションで現在地を確かめます。
Q. スタッツ読みは、Hand Readerのタイプ補正と何が違う?
感覚を数字で裏づけるのがExploit Visionです(§7)。 Hand Reader 1-3は「TAG/LAG/Nit/Station」という質的なタイプを扱うが、 stat-meaningはそれを「AF3.4」「FtCB68%」という反証可能な数字に変える。 「攻撃的そう」という印象を「AF4.5」という事実に置き換えることで、読みが主観から客観へ移る。 数字は、タイプ分類に根拠と精度を与える裏づけです。
